- 専門看護師になりたいけれど、どうすればいいかわからない
- 専門看護師の資格取得にかかる費用が心配
- 仕事と両立しながら専門看護師を目指せるか不安
看護師として経験を積むうちに、より専門的な知識や技術を身に付けたいと考える方は多くいます。
看護領域におけるスキルアップの選択肢の一つが専門看護師です。この記事では、専門看護師になるための基礎知識や取得方法、費用などを詳しく解説します。
記事を読めば、専門看護師を目指すための具体的なステップや必要な準備について理解できます。専門看護師になるには、大学院での学習や認定審査の合格が必要です。
途中で挫折しないためにも、資格取得の道のりについてしっかり把握することが大切です。
- 専門看護師になるための具体的なステップ(受験資格・大学院・認定審査の流れ)
- 専門看護師資格の取得にかかる費用の目安と、負担を軽減できる支援制度
- 仕事と両立しながら専門看護師を目指すための現実的な方法と注意点
専門看護師になるための基礎知識

専門看護師は、看護師のキャリアアップの選択肢として注目されています。専門看護師を目指すうえで理解しておくべき基礎知識は、以下のとおりです。
- 専門看護師の定義と役割
- 認定看護師との違い
- 専門看護師の14分野
自分のキャリアプランを明確にし、専門看護師への道について把握することが重要になります。
» 看護師の種類とスキルアップできる資格の種類を解説!
専門看護師の定義と役割
専門看護師とは、高度な専門知識と技術を持つ看護師のことです。日本看護協会が認定する資格であり、複雑で解決困難な看護問題に対応する能力を保有しています。
参照元:専門看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
専門看護師の主な役割は以下の6つです。
- 実践
- 相談
- 調整
- 倫理調整
- 教育
- 研究
6つの役割を通じて、看護分野で卓越した実践能力を発揮できます。専門看護師は高度な知識と経験を持つ看護のスペシャリストです。チーム医療のキーパーソンとして活躍し、看護ケアの質の向上に大きく貢献します。
認定看護師との違い

専門看護師と認定看護師では、資格取得に必要な教育機関が異なります。専門看護師は大学院修士課程の修了が必要ですが、認定看護師は6か月以上の研修で資格取得が可能です。認定看護師は実践と指導、相談の3つの役割に重点を置いているのも違いの一つです。
専門分野の数も異なり、専門看護師は14分野、認定看護師は21分野に分けられます。管理的立場で活動する専門看護師に対し、認定看護師は現場での実践が中心です。
一般的に専門看護師の方が認定看護師よりも取得難易度が高く、給与や待遇面で優遇されやすい傾向にあります。
専門看護師
専門看護師は、大学院修士課程修了が必要な高度専門職です。
- がん看護
- 精神看護
- 地域看護
- 老人看護
- 小児看護
- 母性看護
- クリティカルケア看護
- 慢性疾患看護
- 感染症看護
- 家族看護
- 在宅看護
- 遺伝看護
- 災害看護
- 放射線看護
認定看護師
※2020年以降は**「特定行為研修+認定分野」**の新制度に移行しています。
- 皮膚・排泄ケア
- 感染管理
- 緩和ケア
- がん化学療法看護
- がん放射線療法看護
- 救急看護
- 集中ケア
- 手術看護
- 小児救急看護
- 新生児集中ケア
- 透析看護
- 糖尿病看護
- 呼吸器疾患看護
- 在宅ケア
- 脳卒中看護
- 心不全看護
- 摂食・嚥下障害看護
- 認知症看護
- 乳がん看護
- 不妊症看護
- 腎不全看護
※2020年以降、認定看護師制度は「特定行為研修」と「認定分野」を組み合わせた新制度に移行し、より実践力と即戦力が重視される資格になりました。
参照元:認定看護師 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
専門看護師と認定看護師の違いを理解して、自分のキャリアプランに合った資格を選ぶことが大切です。
» 認定看護師になるには?基本の流れと活用すべき支援制度
» 認定看護師と専門看護師の違いは?役割や活躍の場を比較
専門看護師の14分野
専門看護師には、以下の14分野があります。
- がん看護
- 精神看護
- 地域看護
- 老人看護
- 小児看護
- 母性看護
- クリティカルケア看護
- 慢性疾患看護
- 感染症看護
- 家族看護
- 在宅看護
- 遺伝看護
- 災害看護
- 放射線看護
専門看護師は、自分の興味や適性に合わせて分野を選ぶことが重要です。社会のニーズに応じて、今後新しい専門分野が追加される可能性があります。
専門看護師になるにはどうすればいい?

専門看護師になるためのステップは、以下のとおりです。
- 受験資格を満たす
- 専門看護師教育課程を修了する
- 認定審査に合格する
専門看護師の資格取得は簡単ではありません。質の高い看護の提供とキャリアアップにつなげるために、多大な時間と努力を必要とします。
受験資格を満たす
専門看護師になるための第一歩は、受験資格を満たすことです。看護師免許を取得後、5年以上の実務経験が必要です。
5年のうちの3年は目指す専門分野での経験が求められます。専門分野に関する深い知識と高度な技術の習得が重要であり、専門看護師は最新の知見を含む専門的な学習が欠かせません。
専門看護師として活動するために、研究能力や倫理的判断力、リーダーシップなどのスキルも不可欠です。専門看護師の資格取得を目指す場合は、計画的に準備を進めることが大切です。
専門看護師教育課程を修了する

専門看護師になるためには、専門看護師教育課程を修了する必要があります。修了までの期間は2年以上かかるのが一般的で、専攻分野に関する専門的な科目を学びます。
臨床実習は600時間以上必要です。研究能力を身に付けるトレーニングも、教育課程に含まれます。
日本看護協会が認定する教育機関で学ぶ必要があります。修士号または博士前期課程修了の学位を取得可能です。教育課程を修了すると、専門看護師認定審査の受験資格を得られます。
専門看護師は、より質の高い看護を提供できるよう、専門的な知識と実践力を身に付けることが期待されます。
認定審査に合格する
専門看護師になるための最後のステップが、認定審査に合格することです。認定審査は筆記試験と口述試験の2つから構成されています。筆記試験では専門分野に関する高度な知識が問われ、多肢選択式の問題が出題されます。
口述試験は実際の事例を用いた面接形式の試験です。専門的な知識だけでなく、実践的な対応力や論理的な思考力も評価されるのが特徴です。合格基準は公開されていませんが、高度な専門知識と実践能力が求められます。
認定審査に合格するには、以下の対策が効果的です。
- 過去問の活用
- 模擬試験の受験
- 最新のガイドラインを把握
- 対応力の向上
認定審査に合格できなくても再度受験できます。合格に向けてしっかりと準備し、学習し続けることが大切です。
専門看護師になるには費用がかかる

専門看護師になるには、多額の費用がかかります。主な費用は以下のとおりです。
- 大学院での学費
- 認定審査の費用
- 資格更新の費用
にこ総額で300~500万円かかる可能性がありますが、長期的なキャリア投資と考えることが重要です。
大学院での学費
大学院にかかる費用の目安(国立・私立比較)
学費の違い(2年間)
| 区分 | 年間学費 | 2年間の学費合計 |
|---|---|---|
| 国立大学院 | 約54万円 | 約108万円 |
| 私立大学院 | 約100~150万円 | 約200~300万円 |
学費以外にかかる主な費用
大学院進学では、学費以外にも以下の費用が発生します。
| 項目 | 費用目安 |
|---|---|
| 入学金 | 約10~30万円 |
| 教材費・文献代 | 約5~10万円 |
| 実習・研究関連費 | 約10~30万円 |
| 通学費・交通費 | 数万円~数十万円 |
| (遠方の場合)宿泊費 | 数十万円かかることも |
大学院費用の実質トータル目安
| 区分 | 学費+諸費用の合計 |
|---|---|
| 国立大学院 | 約150~200万円 |
| 私立大学院 | 約250~350万円 |
※ 通学距離や在学中の生活スタイルによって変動します。
働きながら通う場合の注意点
- 夜勤や勤務日数を減らすことで収入が減る可能性がある
- 年間で50~100万円以上の収入減になるケースも
- 実質的な負担は「学費+生活への影響」を含めて考えることが重要
費用負担を抑えるためのポイント
- 社会人学生向けの長期履修制度を活用する
- 奨学金制度や自治体の支援制度を確認する
- 病院の**資格取得支援制度(学費補助・休職制度など)**を調べる
日本看護協会の少額金制度に関しては下記資料を御覧ください。
奨学金制度 | 看護職の皆さまへ | 公益社団法人日本看護協会
にこ病院や大学の奨学金・支援制度もあるので行きたい場所の制度を調べてみてください◎
認定審査の費用

認定審査にかかる費用は、審査料51,700円と認定料51,700円を合わせた103,400円です。
支払い方法は銀行振込が一般的で、一度納入された費用は返還されません。時間とお金を無駄にしないためにも、1回で審査に合格できるよう十分に対策することがおすすめです。
資格更新の費用
専門看護師として働き続けるには、5年ごとの資格更新が必要です。更新に必要な審査料は30,800円かかります。専門看護師として質の高い看護を維持するためには、資格更新の費用は必要不可欠です。しかし、経済的な負担が大きいと感じる方も多くいます。
にこ所属する医療機関の支援制度を利用したり、5年間少しずつ貯金したりして更新費用を準備する必要があります。
専門看護師としての活動を継続するために、長期的な視点を持って必要な費用と考えることが重要です。
専門看護師になるための支援制度

専門看護師になるための支援制度は、以下のとおりです。
- 奨学金制度
- 病院の資格取得支援制度
- その他の支援制度
支援制度を適切に活用して、経済的な負担を軽減しながら専門性を高めましょう。
奨学金制度
専門看護師を目指す方にとって、大きな助けとなる制度の一つが奨学金制度です。奨学金制度を利用すれば、経済的な負担を軽減して学業に専念できます。奨学金の中には、返済不要の給付型や低金利の貸与型があります。
成績優秀者向けの特別奨学金や看護師向けの奨学金もあるので、自分に合った制度を調べることが大切です。
にこ奨学金制度をうまく活用して経済的な不安を減らせば、専門看護師の資格取得に集中できます。
病院の資格取得支援制度

病院の資格取得支援制度は、看護師のスキルアップを応援する重要な取り組みです。多くの病院で用意されている支援制度は、以下のとおりです。
- 学費補助制度
- 勤務時間や休暇取得の支援
- 資格試験対策の講座
- 資格取得後の昇給制度
- 院内での研修機会の提供
学会参加費用や専門書籍購入費用の補助など、継続的な学習をサポートする制度が整っている病院もあります。資格取得支援制度の内容は病院によって異なるため、就職や転職の際には制度を確認することも大切です。
自身のキャリアプランに合った病院を選ぶことで、専門看護師の資格取得がスムーズに進みます。
にこ私の病院では、支援制度を利用して資格取得した場合、最低5年はその病院に従事しなきゃいけないという暗黙のルールがありました…
利用したい場合は病院のルール的なものがないか、専門や認定の資格を取得している先輩に聞いてみてもよいかもしれません。
その他の支援制度
専門看護師を目指す方のために、以下のようなさまざまな支援制度があります。
- 教育訓練給付金制度
- 独自の助成金制度
- 研究助成金
- クラウドファンディング
支援制度によって申請条件や利用方法が異なるので、利用する際は詳細を確認することが大切です。
NPO法人による支援制度や医療機関独自の育成プログラムなどは、専門性の高い看護師の育成を目的としています。大学院の授業料免除制度や看護師向けの専門ローンなども選択肢の一つです。
経済的な負担を軽くし、精神面での不安を解消することが重要です。将来の生活設計を考えながら、適切に支援制度を活用しましょう。
専門看護師になるメリット
専門看護師の主なメリットは、以下のとおりです。

- 質の高い看護を提供できる
- 昇格や待遇面の向上が期待できる
- 院内外に人脈が広がる
看護師としてのキャリアをより高めたい方は、専門看護師を目指すことがおすすめです。高度な知識と技術を身に付けることで、より深い支援ができ自己実現や職業満足度の向上にもつながります。
質の高い看護を提供できる
専門看護師になる大きなメリットの一つは、質の高い看護を提供できることです。専門看護師はチーム医療におけるリーダーシップを発揮でき、看護ケアの質の向上に貢献できます。
倫理的な問題にも適切に対応できるため、患者の権利を守りながら最善のケアを提供することが可能です。
専門分野における看護研究を進めれば、新しい知見を得て実践に生かせます。専門看護師は他の職種との効果的な連携も図れて、より良い医療環境を整えられます。
専門看護師になることで、看護師以上に患者の健康と生活の質の向上に貢献することが可能です。
昇格や待遇面の向上が期待できる

専門看護師になれば昇格や待遇面の向上が期待でき、キャリアアップの機会が広がります。給与の増加だけでなく管理職への昇進チャンスも高まり、専門家としての社会的評価も得やすいです。
専門性を生かした新規プロジェクトを立ち上げて、キャリアの幅を大きく広げることも可能です。専門看護師の資格取得は、長期的な視点で見ると大きな自己投資になると言えます。
院内外に人脈が広がる
院内外での人脈が広がるのも、専門看護師になるメリットの一つです。人脈が広がれば、キャリアアップや自己成長の機会を多く得られます。
専門看護師の資格を取得して人脈が広がることで、得られる影響は以下のとおりです。
- 他の専門職や医療機関とのネットワーク
- 学会や研究会での発表機会
- 多職種連携プロジェクトの参加
- 若手看護師との交流
- 患者や家族との信頼関係
医療機関や福祉施設との連携が強化されることで、地域医療の課題解決に貢献できます。国際的な看護師コミュニティとの交流機会を得られることも、専門看護師ならではの魅力です。グローバルな視点で看護を学べ、看護師としてのキャリアを高められます。
専門看護師になるには計画的な準備が大切

専門看護師になるには、長期的な視点で計画的に準備を進めることが大切です。働きながら資格取得を目指す場合は、時間と労力の管理が重要になります。勤務先から理解と支援を得られれば、仕事と学業の両立が実現可能です。
働きながら専門看護師を目指す方法
働きながら専門看護師を目指すには、計画的な準備と効率的な時間管理が必要となります。仕事と学業を両立させるために、以下のような工夫が必要です。
- 通信制や夜間・土日開講の大学院を選ぶ
- 職場の理解と支援を得る
- 長期的な学習計画を立てる
- 時間管理スキルを向上させる
- オンライン学習ツールを活用する
仕事と学業を優先するため、職場だけでなく家族の協力も欠かせません。
学費や生活費の準備は早めに始めておき、必要に応じて奨学金の活用も検討します。移動時間や昼休憩などの空き時間を利用し、少しでも学習習慣を身に付けることが資格取得につながります。
定期的に目標を見直し、計画を微調整することも大切です。
遠方の大学院に通う工夫
遠方の大学院に通う場合は、効率的に学習するためにさまざまな工夫が必要です。
オンライン授業や通信制大学院を活用すれば、通学時間を減らせて仕事と学業の両立がしやすくなります。ただし、すべての授業をオンラインで受けられるわけではないので、注意が必要です。
長期休暇を利用して、集中的に講義を受講するのも有効です。夏季休暇や冬期休暇を活用すれば、短期間で集中して学べます。上司や同僚の理解を得て、授業や実習に参加しやすいよう勤務スケジュールを整えることも大切です。
交通費や宿泊費の負担も考える必要があります。節約のためにできるだけ安い宿泊施設を見つけることがおすすめです。遠方の大学院でも、工夫次第で効率的に学べます。
まとめ

専門看護師になるためには、しっかりとした準備と多大な努力が必要です。大学院の学費や認定審査・資格更新の費用がかかるので、事前に準備しておきます。奨学金や病院の支援制度を活用できる場合もあるので、利用できる制度はないか確認しましょう。
専門看護師になれば質の高い看護を提供でき、待遇面の向上も期待できます。
働きながら専門看護師を目指す方法や遠方の大学院に通う際の工夫など、自分に合った方法を見つけることが重要です。計画的に準備を進めれば、着実に専門看護師へ近づけます。
専門看護師は、医療現場の多様化・複雑化するニーズに対応するために不可欠です。専門看護師を目指せば、より安全で質の高い看護を提供でき、患者だけでなく自分の自己実現を図れます。
» 看護師の主な役割や、病院、クリニック、訪問看護など職場ごとの業務内容を解説